鉄欠乏性貧血,巨赤芽球性貧血って何?~栄養から貧血を考える~

 貧血とは血液中の赤血球の減少やヘモグロビン量が少なくなり,体内に酸素を十分に供給できなくなった状態をいいます.

 例えば,手術後で血液が体外へ排出したことで起こる貧血や腎臓の機能が低下して造血を促すホルモンの産生が不十分となった腎性貧血など貧血の原因は様々です.

 そんななか今回は食事との関係が深い鉄欠乏性貧血,巨赤芽球性貧血を考えていきます.

鉄欠乏性貧血とは

 赤血球に含まれているヘモグロビンは酸素を全身に供給します.鉄はヘモグロビンの構成成分なため鉄が不足し体内に酸素が十分に供給できなくなった状態を鉄欠乏性貧血と呼びます.

 鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄に分かれておりヘム鉄の方が吸収が良くレバーやかつお,あさり,赤身の肉など動物性食品に多く含まれています.

 また非ヘム鉄は緑黄色野菜,豆腐,海藻類などの植物性食品に多く含まれヘム鉄の吸収率より低く20~25%といわれています.そのため鉄の吸収率を高めるビタミンCや良質のタンパク質と一緒に摂取することが大切です.

 加えて酸味や香辛料などを適量使用することによって胃酸の分泌を促進され鉄の吸収を促進します.

 逆に穀類や豆類に多く含まれるフィチン酸やコーヒー,紅茶,緑茶に多く含まれるタンニンは体内で鉄と結びつき,体への吸収を妨げるので同時に摂取するのを控える必要があります.

注意点:鉄の吸収率は低いため過剰症となることは低いのですが,過剰摂取した場合肝臓や胃腸などに障害が起こることもあります.また,鉄を多く含むレバーはビタミンAも豊富に含まれているため,妊娠時にレバーの多量摂取は胎児奇形となるため注意が必要です

巨赤芽球性貧血とは

 赤血球の親である赤芽球の合成障害が生じ,赤芽球が巨大化して赤血球をうまく作れないことで生じます.

 原因としてはビタミンB12,葉酸の摂取不足や小腸の病気や手術で小腸を切除した場合は葉酸,ビタミンB12の吸収が不良となって起こります.ビタミンB12は動物性食品に多く含まれるため菜食者は注意が必要です.また葉酸はレバーや緑黄色野菜に多く含まれています.

まとめ

 臨床上貧血を呈しているクライアントは多くいます.原因は一つではないため精査する必要があり,栄養面から考える必要もあります.ぜひ参考にしてみてください.

またクライアントが貧血しているかを見極めるのは,「疲れの原因を知るためのフィジカルアセスメント」をご参照ください.

また,他にも栄養について「骨粗しょう症はカルシウムの不足だけではない!?」を記載しているので参考にしてみてください.

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