触診技術の向上~肩甲挙筋編~

 触診の技術を向上することで治療,評価技術の精度を上げることができます.触診方法については

以前記事にした,「触診技術の向上が治療,評価の精度をあげていく」をご参照ください.今回は肩甲

挙筋の触診方法をご紹介いたします

触診前に知ろう ~肩甲挙筋とは~

 肩甲挙筋はよく「肩こり筋」といわれ過緊張となりやすい筋です.特定の筋の過剰使用は筋の過緊張

を引き起こし短縮傾向になります.一方過緊張筋の拮抗筋は相反抑制の影響を受け弱化の傾向に陥りま

す.

ヤンダらは全身の筋群を硬くなりやすい筋群と弱くなりやすい筋群に分類しており,肩甲挙筋は硬くな

りやすい筋群に分類されています.

肩甲挙筋は肩甲骨を挙上,下方回旋に作用します.そのため相反する僧帽筋中部線維や下部線維は相

反抑制にて弱化しやすくなります.このように個々の運動や生活習慣などの特性によってマッスルイン

バランスは作られていきます.このマッスルインバランスが姿勢やアライメント異常を作りだし正常な

運動パターンを変化させます.この異常な代償運動パターンが機能障害の原因を作り出します.

起始…第1~4頸椎横突起の後結節 停止…肩甲骨上角と内側縁の上部

筋連結…頚板状筋,前鋸筋,小菱形筋,前頭直筋

触診方法

① 頸部の前後径の中点をランドマークして肩甲挙筋のおおよその走行を把握します.

② 乳様突起と下顎骨を触知してその中点をランドマークします.

③ 肩甲骨の上角より1横指内側をランドマークします.

④ ②と③を結び想定線を描き筋を横断するように触診していきます.


まとめ

 肩甲挙筋は肩こり筋といわれるくらい筋緊張の亢進がみられ触診をすることが多々あります.ぜひ試

してみてください.また「棘下筋」,「小胸筋」,「棘上筋」の触診方法も記事にしてあるので併せて

読んでみてください.

 ちなみに今回の知識は体表解剖学研究会のセミナーや骨格筋の形と触察法をもとに記載しています.

骨格筋の形と触察法は上記のような骨指標,想定線が記載されており,触診するためには欠かせない本

となっています.また献体を用いて筋の位置等の解剖の知識も得ることができます.興味がある方は購

入してみてください.

 

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