知名度のある先生のところで高いお金を払って勉強会に参加してみたけど,いざ実際に患者に治療しても治療効果があまりでなかったという経験はありませんか?
下準備が必要
治療効果を出すためには環境設定などの下準備が必要です.例えば料理でも,調理する前に調味料などを加えて下味をつけるなど炒める前に下準備をしないと美味しい物は作れません.
リハビリの治療も一緒であり,まず下準備をしっかり行うことで治療効果が出たり,
治療効果も倍増していきます.
患者が緊張状態で治療効果が変化する
よくリハビリ室で耳にしませんか?「〇〇さん,力を抜いてください!!」本当に意識的に力を入れているのでしょうか?
無意識のうちに力が入っているのではないでしょうか.無意識のうちに力が入っている患者に対して治療をしても余計なところに力が入ってしまい,本当に
入れて力を入れてほしいところに入っていないことはありませんか?
患者には余計な力は抜けて,力を出したいところに力が入る環境が治療効果を出すコツです.患者が力が入ってしまう理由はいくつかあります.
患者の環境設定
一度,丸い石の上で片脚立ちをしてみてください.
肩に力が入るのが分かると思います.さらにそれがビルの屋上でやることを想像してみてください.そうです,私たち人は不安定でなおかつ恐怖心がある環境で余計な力が入ってしまいします.患者も同様であり,不安定な環境で治療をすることで緊張が高まってしまします.さらに何をされるかわからない状態だと余計緊張が高まります.
具体的にいうと,例えば背臥位であっても円背の患者では非常に不安定な環境です.
膝に拘縮がある方も背臥位で下肢において非常に不安定な状態です.そうした患者の不安定な状態を安定した環境に変えることが大切です.安定した環境を考えるには
以下を参考にして私はいつも治療を行っています.
- 支持基底面の大きさ
- 重心の位置
- 床面の素材
- 患者の恐怖心を感じる環境
セラピストの環境設定
患者が安定した環境であっても,私たちセラピストが不安定な環境では治療効果を出すことは難しいです.セラピストの多くは上記で述べた患者を安定した環境で治療することは考えているのではないでしょうか.
私はむしろセラピストの環境設定こそ重要ではないかと考えています.
一つ考えてほしいのですが,人はだれかに触られるときに優しく触られるのと,力が入っ状態で触られるのとではどちらが触れられた側は心地良いでしょうか?
多くの人は前者ではないでしょうか.逆を言えば力が入りすぎていると触られた側は不快に感じ
力が入ってしまいます.患者も同様でセラピストの触り方一つで患者の状態は変化します.では
私たちセラピストが力が入りすぎないようにするにはどうしたらいいでしょうか?それは,
私たちセラピストも患者同様に安定した環境を作ることが大切です.
私たちセラピストも安定した環境設定をすることで,力が入らずに患者に触れることができ,患者側も不快を感じないで変に緊張を上げないで治療することができます.
セラピストと患者の距離感
セラピストが力が入ってしまうもう一つの理由としてセラピストと患者の距離感にあります.セラピストと患者の距離が遠い場合は,距離が遠くなればモーメントも大きくなり力を入れなといけません.また,近すぎる場合もセラピスト側は患者を動かす際に動かしにくく変に力が入
ります.セラピストは遠すぎずかつ動かしやすい場所が余計な力が入らないポジショニングです.
また,患者側の心理的な状態でも言えます.二人で話をするとき二人の間の距離を「対人空間」といい,対面で45㎝以内を密接距離といいます.この距離はよほど親密な関係でないと入れない空間です.例えば満員電車の中を他人と接触すると不快に感じるのは,密接距離に他人が入っているからです.私たちセラピストも密接距離に入ることが多々ありますが,信頼関係がない状態で
密接距離にいると患者は不快に思い緊張を高める場合があるので距離感には注意が必要です.
患者の緊張状態をセラピストが作っているかもしれないことを念頭に置く必要があります.患者が余計な力が入って治療効果が得られないケースを他の記事でも紹介していますのでご参照ください.
まとめ
患者に余計な緊張を与えないことが治療効果を出すコツです.
患者に余計な緊張を与えない方法としては,
- 患者の環境設定
- セラピストの環境設定
- セラピストと患者の距離感
を考えて治療することが大切です.患者の環境設定だけでなくセラピスト自身の環境状態を把握して
改善していくことが治療効果を出す,あるいは治療効果を倍増するコツです.なぜこの患者は力が
入ってしまっているのかを常に考えることが大切です.そのうえで知名度のある先生に教わった
治療を実践してみてはいかがですか.