「あなたは集中して仕事に打ち込めていますか?」日中の覚醒やパフォーマンスは睡眠の質により変わります。
睡眠の鍵を握るのは「深部体温」,「皮膚体温」の2つです.今回は睡眠について解説していきます.
睡眠不足による影響
夜遅くまで起きているとお腹が空いて食べたくなることはありませんか?
これはホルモンによる影響です。夜遅くまで起きていると食欲を抑制するレプチンの分泌が減少し、食欲を増進させるグレリンの分泌が増加するからついつい食べてしまうのです。そのため夜しっかり寝ないと肥満のリスクも上がってしまいます。
また夕飯を食べないと覚醒ホルモンであるオレキシンという物質が働き眠りにくくなります。
夕飯をしっかり食べてオレキシンの働きを抑え、眠りにつくことが大切です。
最初の90分で睡眠の質は決まる
脳、身体が休息しているノンレム睡眠、身体のみ休息しているレム睡眠が交互に訪れることはご存知の方も多いと思います。
では、深く眠りに入るのはいつでしょうか?
答えは最初のノンレム睡眠の時の90分です。この最初の深いノンレム睡眠をしっかりとることが大事になってきます。
というのも、成長ホルモンのおよそ7割がこの時間に分泌されます。成長ホルモンとは新陳代謝の促進、細胞の成長に関わるホルモンであり身体を元気に若々しくするためには必要不可欠です。
またこの深いノンレム睡眠は眠たくなる睡眠圧の多くが解放されるためこの90分をしっかり眠ると頭がすっきりします。逆にこの90分が妨げられると脳波も異常を示しノンレム睡眠、レム睡眠のリズムも崩れ睡眠の質も悪くなります。
そのため最初の90分をしっかり眠りましょう!
体温について
明日朝早くに仕事があるから早めに寝たいと思ってもなかなか眠ることができませんよね.睡眠を促すにはコツがあります。
入眠する際体温が下がることで睡眠のスイッチが入り眠くなることは皆さんもご存じかと思います.勿論その通りですが,それだけでは不十分です.睡眠のスイッチは「深部体温」,「皮膚体温」が重要となります.
深部体温とは内臓などの内部にある体温のことを指します.先ほど述べた体温を下げる話はこの深部体温を下げる必要があるのですが,どうしたら人は深部体温を下げることができるのでしょうか.
深部体温を下げるためには恒温動物の機能を利用することが大切です.外気温にたいして変化するのを変温動物と呼びますが,恒温動物は寒さや暑さなど外気温に左右されることなく一定の深部体温を維持する機能が備わっています.逆を言えば,何らかの原因で深部体温が上がると,恒常性が働き深部体温を下げようとする作用が働くのです.
この性質を利用することが鍵となります.つまり深部体温を下げるためには,その前に深部体温を上げることで,恒常性が働き体温が下がり入眠に入ることができるのです.
また,体温を下げるためには,皮膚体温が重要となります.深部体温を上げた後,この皮膚体温により熱放散が起こり深部体温を下げることが可能なのです.この熱放散は毛細血管が豊富な手足が多く働きます.
つまり寝る前には①深部体温を高めること②深部体温を下げるために皮膚体温を高め熱放散を促すことが必要となるのです.
深部体温を上げる方法としては、入浴や白湯が挙げられます。入浴に関しては40度のお湯に15分浸かった場合元の体温に戻るのは90分程度かかります。そのため寝る90分前にお風呂に浸かるようにすると、深部体温がそのまま下がっていき眠りやすくなります。
皮膚体温による熱放散を利用する方法は足湯が挙げられます。また足回りのストレッチやマッサージなどで血液循環を良くすることも熱放散を促しやすいので是非試してみてください。
逆に靴下を履いて寝ると熱放散が阻害されるため、深部体温を下げにくくするため寝つきが悪くなります。寝る前まで靴下を履いていてもいいですが、寝る時には靴下を脱ぐことをおすすめします。