私たちは精神的,身体的にカラダを整えるためには呼吸が大切であることは皆さんもご存じではないでしょうか.緊張したときは深呼吸をして落ち着き,またヨガや運動をするときは呼吸を意識します.私たちは呼吸を良くすることは最高の体調を引き出すことを体感して知っているのです.
では呼吸を良くするにはどうしたらよいでしょうか?
このような質問をして返答できない方は多いのではないでしょうか.今回は呼吸を良くするための胸郭の柔らかさについて解説します.
呼吸を意識することが大切な理由
現代の日本人の多くが呼吸が浅く,早い状態になっています.しかしこの呼吸様式だとカラダに悪影響を及ぼす恐れがあります.その理由は交感神経優位,もう一つが換気量の低下にあります.
自律神経とは無意識に人間が生存するための機能であり交感神経,副交感神経に分かれています.交感神経とは日中に仕事や運動など活動的なときに働くもので,逆に副交感神経とは睡眠やリラックスするときに働くものです.
この交感神経と副交感神経のバランスが生きていくためには必要であり,交感神経が働きすぎた場合,副交感神経によりカラダを休ませることができず,次の日に疲れが残ってしまいます.
ではこの自律神経と呼吸とはどのような関係にあるのでしょうか.
呼吸は自律神経をコントロールできる数少ない方法の一つです.呼吸が浅く早いと交感神経優位となり,深くゆっくりと呼吸した場合は副交感神経優位となります.
呼吸は皆さんもご存じの通り普段無意識でもすることができますが,自身で意識してコントロールすることも可能です.
では私たちは交感神経,副交感神経どちらの呼吸を意識したらいいいでしょうか.
答えは副交感神経を刺激する深くゆっくりと呼吸を意識すると良いでしょう.
現代の日本人は働きすぎや勉強のし過ぎ,勤勉さから交感神経が優位となり血管が収縮し血流障害による冷えや睡眠障害をはじめ腸内環境の悪化,心疾患など様々な病気にかかりやすくなっています.交感神経優位であると呼吸が浅く,早くなり,またその呼吸様式が交感神経を高める要因となり負のスパイラルの陥ってしまいます.
ですから私たちは定期的に意識してカラダを休ませるために副交感神経を刺激する深くゆっくりとした呼吸を行うことが必要不可欠なのです.更に副交感神経は血管を拡張させ全身の各細胞に血流を促し回復することができ,カラダの体調を良くすることが期待できるのです.
また呼吸が深く,ゆっくりだと換気量が増大します.
人間のカラダは一回の呼吸でおよそ500ml換気されます.その一回換気量が多くなれば,それだけ酸素を各細胞に届けることができます.しかし呼吸が浅く早くなった場合,一回換気量が減少し細胞に酸素を送ることができず細胞を回復することができず元気をなくし疲れやすくなってしまいます.でも逆に呼吸を深く,ゆっくり行うことができれば,換気量が増え細胞に元気を与えることができるのです.
しかし私たちは呼吸を調整するにもできない方がいます.特に胸郭が硬いと難しい場合があります.
胸郭を柔らかくする必要性とは
呼吸を調整するためには胸郭周囲の筋肉を柔らかくする必要があります.
そもそも呼吸というのは,肺が自立して動くわけではありません.筋肉により胸郭を動かし,内圧を変化させることで肺を膨らませたり,しぼめたりします.
つまり肺を動かす筋肉や肋骨に付着している筋肉が硬いと肺が膨らまず,一回の換気量が減少し各細胞に酸素を取り込むことが難しくなります.またそれだけではなく呼吸が浅くなると交感神経優位となり血管が収縮し高血圧,脳梗塞をはじめ様々な病気にかかりやすくなります.
胸郭の柔軟性が失われる代表的な筋肉としては横隔膜,大胸筋,肋間筋,腹直筋,腹斜筋群,腰方形筋,胸鎖乳突筋などがありますがそれぞれを個々でストレッチすることは難しいかと思います.
肺を動かすや肋骨に付着している筋肉は首回り,胸周りにあります.そのため首周りの筋肉や胸周りの筋肉に対して前後,左右,ねじれも含めて全身的にストレッチすると効果的かと思います.加えてストレッチは副交感神経を刺激することができます.
寝る前にストレッチをしながら呼吸も深くゆっくりと行うことで副交感神経が優位に働きカラダがリラックスできそのまま眠りにつくこともできるかと思います.是非参考にしてみてください.