抵抗運動は筋力強化目的だけじゃない!?目的とする運動の方向性を導く

抵抗運動は,セラピストであれば誰しもが使用している方法だと思います.しかし使用方法により治療

効果が変わってきてしまうことがあります.誰しもが使用しているからこそ治療を行う上でその差が生

まれてきてしまいます.今回は抵抗運動についてご紹介します.

抵抗運動は目的とする運動の方向性を導く

抵抗運動は,筋力強化に使用するものと認識している人も多いのではないでしょうか.PNFでは抵抗運

動をクライアントの正しい反応と治療の目標とする動作を促す目的で使用することがあります.

物体には必ず作用-反作用の法則に則っています.ある物体に力を加えた際にその物体は逆向きに等

しい力が働きます.人の抵抗運動でも同じことが言え,セラピストがクライアントに抵抗運動を加えた

際にクライアントは逆向きに力が働きます.

言い換えると,セラピストの抵抗方向によりクライアントはその抵抗方向に対して力を働くともいえま

す.例えば肩関節を挙上させたい場合は垂直下方に抵抗を加えると,クライアントは反作用として垂直

上方に力を働かせます.

しかし,抵抗方向が斜めにズレた場合,そのズレに対してクライアントも対応して働きます.

この場合では屈曲運動だけでなく,外転要素も加わり目的の運動とは異なる運動となってしまいます.

このようにセラピストの抵抗の方向に応じてクライアントの目的とする運動を導くことが可能です.ま

た筋活動でいえば三角筋前部線維の筋力強化運動に対して中部線維の活動も加わってしまうため,治療

効果が半減してしまいます.私たちは何気なく利用している抵抗運動でも目的動作を意識して抵抗運動を

心がける必要があります.

日常生活に即した抵抗運動を心がける

今回はわかりやすく屈曲運動と一次元に絞って説明しましたが,日常生活を過ごす上で一次元のみで運

動を行うことはほとんどありません.矢状面(屈曲,伸展),前額面(外転,内転),水平面(内旋,外旋)

の三次元的要素が必要であり,日常生活に即した抵抗運動を考えていくためには,三次元に対して適切

に抵抗運動を加えることが必要になってきます.また,日常生活では単関節だけ動かすことも少ないと

思います.複数関節を動かす運動に対しても各関節に対して適切に抵抗を加え動作を導く必要がありま

す.

まとめ

抵抗は,PNFにおいて最も重要かつ適応性の高い基本原理の一つです.特にPNFのパターンは複数関節

に対して抵抗を加えていく極めて複雑な動きとなっています.抵抗は一見簡単なように見えますが,考

えてみると非常に奥が深く難しいものです.目的とする運動のために最適な抵抗を加え動きを導ける

ように精進する必要があります.ぜひご参考にしてみてください.

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