偏平足,外反母趾など足部の変形や足部のアライメントから荷重部位,メカニカルストレス,姿勢,歩行などを考えるセラピストは多いと思います.しかし足部のアライメントから読み取るのは意外と難しく,後足部と前足部の位置関係.距骨下関節.舟状骨,立方骨の触診と理解するのに時間を要してしまい,投げ出してしまう方も多いのではないでしょうか.それだけ足部を理解することは難しいのです.しかし足部は唯一,床と接している場所であり姿勢,歩行を考える上では足部を理解することが不可欠であります.そこで足のたこ(胼胝)は見た目でもわかりやすくかつ,クライアントの姿勢や歩行などの日常生活の習慣を理解しやすく,さらにクライアントにも伝えやすい方法となります.今回は足のたこ(胼胝)についてご紹介します.
足のたこ(胼胝)とは
足のたこ(胼胝)は母指球にできる人もいれば,小指球側にできる人,第2,3指にできる人と,足の形が千差万別なように足のたこ(胼胝)も様々な場所に存在しています.
辞書には「たこ(胼胝)とは繰り返し圧迫を受けた皮膚の部分が角質化し厚くなったもの」と記載されています.つまり,姿勢など日常生活で常に繰り返し荷重が加わりストレスがかかった場所と言い換えることができ,足のたこ(胼胝)をみることはその人の身体の使い方をみることに直結することができるのです.
歩行においても通常日本人は,一日平均して5000~7000歩歩いていると言われています.片足で換算すると一日2500~3500回,月では7万5千~10万5千回,年間では90万~126万回と毎日足を踏みしめており,その人個人の特徴的な歩行をしていると一部分に過剰なストレスが加わり,足にたこ(胼胝)ができるのは至極当然のことだと思います.
足の胼胝を診る
足の胼胝を診ていくには,視覚は勿論のこと触覚でも診ていきます.触ることでカサつき,硬さ,大きさ,形など目に見えない場所も捉えることがありますので,必ず触ることを心がけてください.
まずは後足部荷重か前足部荷重かをみていきます.後足部荷重の場合は踵に角質が硬化したような状態になります.踵は元々歩行において踵から接地し衝撃を吸収する場所であるため皮膚や脂肪が厚く胼胝になりにくい部位ですが,角質が硬化しカサついている場合は後足部荷重となっている可能性があります.逆に前足部は皮膚や脂肪が薄いため胼胝になりやすいため見た目上でもわかりやすいと思います.
前足部荷重にも色々あり,第2~4趾の下側へできる場合もあり,これは外反母趾など母指球側に荷重をかけられない人などはそこで歩行時蹴り出すことで胼胝を作る人がいます.
他にも外側部荷重の場合は小趾側に胼胝を作る場合があります.また歩行においても立脚後期においての母指球での蹴り出しが行われずに,小趾側のみで歩行を実行している可能性があります.
また足部の変形においても胼胝を診るとわかりやすくクロウトゥの場合など,指に胼胝ができます.
足の胼胝は見た目上わかりやすく,理解しやすく且つ説明しやすいため,クライアントにも診てもらうことでクライアントの意識を変えるきっかけにもなります.なぜそこに胼胝があるのか,姿勢や歩容を伝えた上で理由を説明してあげると良いかと思います.
まとめ
足の胼胝をみることで日常生活の身体の使い方を理解することができます.また,足の胼胝に加えて,上半身質量中心と下半身質量中心をみることで,より正確に診ることができるのではないでしょうか.上半身質量中心と下半身質量中心の診方は以前記事にしたものをご参照ください.「上半身質量中心と下半身質量中心から姿勢を診ていく必要性」