免疫とは，身体の外からも中からも病気にならないように防いでくれたり，治そうとする働きのことを言います．免疫力が下がると病気にかかりやすくなるため免疫力を高める必要があります．免疫力を高める方法の一つに自律神経を整えることが大切になってきます．自律神経を整える必要については「体温を上げると人は健康になる」に記載してあるので参考にしてみてください．今回は自律神経を整える方法の一つの日周リズム(サーカディアンリズム)について解説していきます．
サーカディアンリズムとは
私たちは，朝になると目が覚め，夜になると眠くなるという1日のリズムで生活を送っています．このリズムをサーカディアンリズムと呼び，約1日を周期とします．この体のリズムを刻んでいるのが体内時計であり，私たちの身体を構成している細胞内の時計遺伝子によりコントロールされています．
体内時計には，他にも週間リズム，月周リズム，年周リズムとあり，それぞれ周期に応じ身体の調整を行っています．
また体内時計には主時計と末梢時計の2種類に分かれており，双方が影響し合うことで体内時計を調整しています．主時計は脳の視床下部の視交叉上核に存在し司令塔として末梢時計の働きを統合しています．
また，末梢時計は全身の細胞や臓器に存在し，主時計の指令を受け，独自に体内時計を調整しています．この主時計と末梢時計が同調することで正しく刻まれます．
本来人間が持っている体内時計は24～25時間といわれており，私たちは１日24時間のサイクルで生活しているため，毎日1時間ほどズレが生じます．このズレを調整するために「太陽の光」と「食事」が鍵となります．
「太陽の光」と「食事」によるサーカディアンリズムの調整
主時計を支配している視床下部の視交叉上核は朝，「太陽の光」を浴びると体内時計をリセットし，全身の細胞や臓器に指令を出します．夜に強い光を視床下部が感知すると主時計が朝と勘違いして良質な睡眠をとりにくくなります．具体的に言うと夜中携帯など見ていると脳内で誤作動を起こし睡眠を妨げてしまいます．
他にも夜豆電球をつけたまま睡眠するのも良くありません．目をつぶっていても網膜は光を感知すると言われています．網膜が光を感知すると松果体と呼ばれるところから睡眠を促す「メラトニン」というホルモンが抑制され睡眠障害に陥ってしまいます．
つまり良質な睡眠を確保するためには，夜中に強い光を浴びて作業するのを止めて，真っ暗にして睡眠することが大切となってきます．
末梢時計は，主時計の「太陽の光」の刺激に加え，「食事」を取ることで活性化されます．また「食事」1日3食規則正しく取ることで，脳の視床下部背内側核という部分を介して末梢時計はリセットされます．これは視交叉上核を介さない経路なため，加齢で主時計の働きが鈍くなってきた人や視覚障害の人，夜勤交代制勤務の人などへも体内時計を調整に働きかけることができるとされています．
サーカディアンリズムと自律神経の関係性
1日のリズムで自律神経は時計遺伝子によりコントロールされています．この自律神経とは無意識的に働き身体を調整しています．
自律神経には交感神経，副交感神経に分かれており，交感神経とは運動で体を動かしたり，仕事で頭を使ったりとアクティブなときに働きます．身体の中では血管が収縮し，心拍の上昇，呼吸の促拍，血圧の上昇がみられ，反対に消化器系は抑制されます．副交感神経はこれとは逆に作用しリラックスするとき睡眠や食事の際に働きます．身体の中では血管が拡張し，心拍の低下，呼吸の緩徐，血圧の低下がみられ，消化器系は活発に働きます．
自律神経は日中活動するときは交感神経が働き活発的に活動し，夜眠るときは副交感神経を働かせ身体を休めます．このサーカディアンリズムによって生活することで自律神経を整えた生活となります．
しかし，夜中ゲームをしていたり，昼頃まで起きなかったりと昼夜逆転の生活をしていた場合交感神経過緊張や副交感神経過緊張といった自律神経が乱れていきます．自律神経が乱れた場合体温が低下し免疫力を下げ病気にかかりやすくなります．
つまり私たちはサーカディアンリズムに沿って生活することで，自律神経を整え体温を向上させ免疫力を上げる必要があります．
まとめ
体内時計は24～25時間周期であり1時間ズレが生じるため調整する必要があります．調整する方法として「太陽の光」を浴びることや「食事」を3食規則正しく食べることで体内をリセットすることができサーカディアンリズムを調整することが可能です．また昼夜逆転の生活をしていると自律神経を乱し，体温が下がり免疫力を下げてしまいます．サーカディアンリズムで生活することで自律神経を整え免疫力向上することが可能となるのです．是非参考にしてみてください．
