免疫って何?免疫の鍵は腸内環境が決める

 昨今新型コロナウイルスの影響により免疫力というワードが日々飛び交っていますが,そもそも免疫力とはなんなのでしょうか.またどうしたら免疫力を上げられるのでしょうか.ネットの蔓延る情報に何が正しくて何が間違っているのか分からなくなってきているので今回は免疫力について解説していきます.

 今回の新型コロナウイルスだけでなく,SARS,ノロウイルス,新型インフルエンザなどウイルスによる亡くなられる方は数知れません.新型インフルエンザに関してはワクチンが出来ていますが,年間で1万人にも及ぶ死者数となっています.

 今後新型コロナウイルスに対してのワクチンが開発されたとしても新型コロナウイルスが無くなることはないのかもしれません.そして更に私たちの前に新たなウイルスが出現するかもしれません.私たちはウイルスと共生していくことが求められているのかもしれません.そのためには免疫力を高めるために腸内環境が鍵となってきます.

免疫とは

 免疫とは,病気を防いだり,治そうとする働きのことです.免疫には二つの役割があります.一つは外部からきた非自己である抗原(ウイルスや細菌)に対しての防衛すること.もう一つは私たちの体内で生まれる悪い物質(腫瘍など)や古くなった組織(老組織)が悪い物質に変わるなど自己由来の反応に対して排除する役割があります.

 この体外や体内の悪さをするものに対して免疫は防いだり,治そうとしてくれます.

 では,どういうふうに防いでくれるのでしょうか.

 免疫細胞は2段構えで防いでくれます.一つは非自己である細菌やウイルスなど外部から侵入した物すべてに対して素早く攻撃する仕組みがあります.これを自然免疫を言いますが,この自然免疫は他にも異物がもつ情報を別の免疫細胞に伝達する役割もあり,この情報を基に二の矢としてその細胞に対して効果的に攻撃をする仕組みが獲得免疫です.

 獲得免疫は二度目に体内に侵入した場合,その異物がもつ情報を記憶しているためすぐに反応することができます.この自然免疫と獲得免疫の2段構えで病気を防いでいます.

 では,免疫が機能しないとどうなるのでしょうか.

 外部からの細菌やウイルスに対して防ぐことができないので,易感染性,アレルギー(花粉症など),や悪性腫瘍など内部から悪さするものに対しても防ぐことができなくなってしまいます.

免疫力と腸内環境とは

 免疫力を高めることが健康にとても大切ということが理解できたかと思いますが,ではどうしたら免疫力を上げることができるのでしょうか.

 それは腸内環境を良くすることです.

 免疫細胞の60%~70%は腸に付着しています.大部分を占めている免疫細胞の住処である腸内環境を整えることで免疫が活性化されます.

 また,腸は栄養を吸収して全身へとつながっていきます.そのため腸内環境が良くなると全身に存在する免疫細胞にも栄養を行き渡らせることができ全身の免疫細胞も活性化することができます.

では,腸内環境を整えるためにはどうしたらいいのでしょうか.

 腸内には600兆個~1000兆個の常在菌が存在しています.腸内細菌のバランスが腸内環境を左右します.腸内環境の理想は善玉菌2:日和見菌7:悪玉菌1といわれています.善玉菌が悪玉菌より多い状態が理想とされています.

 しかし現代の腸内環境は悪化しており悪玉菌が善玉菌より逆転して善玉菌1~0.5,悪玉菌2.0~2.5と善玉菌が減少し悪玉菌が増加している環境となっています.

 善玉菌の代表といえば乳酸菌.ビフィズス菌やアシドフィルス菌などいろいろな種類があり,この善玉菌が増えると,体の健康や美容に欠かすことのできない有効成分が作られます.しかも腸内に有効成分が充満すると悪玉菌の数が抑制され,数が減少し有害な物質を体外に排泄する手助けをしています.

 逆に悪玉菌というのは,ウェルッシュ菌や病原性大腸菌,黄色ブドウ球菌などであり,腐敗物質の産生や老化と深く関わっており,体に害を与える菌です.

 日和見菌は,善玉菌にも悪玉菌にも属さない菌を指し優性な(多い)菌に見方をします.つまり善玉菌の数が悪玉菌より多い場合は善玉菌に味方をし,逆に悪玉菌の数が多い場合は悪玉菌に味方します.

 そのため現代人の悪玉菌優位となっている環境は日和見菌も悪玉菌に味方するため悪玉菌まみれということになります.

 では,善玉菌を増やし,悪玉菌を減らす腸内バランスを整えるにはどうしたらよいでしょうか.

腸内環境を整えるには

 ポイントは4つあります.必要な栄養の不足,過剰な添加物の摂取,ストレス,低体温が挙げられます.

 必要な栄養とは,善玉菌が活性化するために必要なビタミン,ミネラル,食物繊維,ファイトケミカル,発酵食品を摂取することです.

 添加物とはファストフード,インスタント食品に多く,腐らないように,菌が発生しないように防腐剤,殺菌剤が多く含まれており善玉菌も殺してしまい,逆に悪玉菌を活性化してしまいます.現代人が添加物の摂取が増加しているため腸内環境が悪化しているのです

 食べ物だけでなくストレスも関係しています.ストレスは自律神経の乱れが生じます.内臓は副交感心径優位となった場合に活発に働くことができるのですが,ストレスにより交換神経優位となった場合,内臓の活動が抑制することで腸内の活動も停滞してしまいます.また交感神経優位では血管は収縮し血行不良にもなるため腸に栄養が行き渡らないことで腸内の活動が抑制され腸内環境は悪くなってきます.

 低体温も腸内環境には関係しています.低体温は全身の血行不良となり起こります.そのため栄養が腸に行き渡らないため腸の蠕動運動が抑制されるため,有害物質も腸に停滞することで悪玉菌にとっては住みやすい環境,善玉菌にとっては住みにくい環境になってしまいます.

 必要な栄養を摂取し,添加物を極力避け,ストレス,低体温を予防することで腸内環境は整い免疫力を上げることができます.是非試してみてください.

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