問題解決に対して自主練習を提示した際に練習以上の内容を実行する人,あるいは提示されたことのみしかやらない人,提示された回数以下をこなす人,あるいは全くやらない人など同じ提示の仕方で様々な反応が返ってきます.その人それぞれに適切な対応を取らなければ,問題解決に至らないだけでなくリスクさえ伴います.本日はクライアントへの対応についてご紹介します.
問題解決に対して3つのタイプが存在する!?
人は問題に直面した場合,3種類のタイプに分類されます.
①積極問題焦点型
①の積極問題焦点型は,ある問題に対して積極的に努力をして解決しようするタイプになります.意識としては「頑張った分だけ報われる」と根性論で考えることが多く,自主練習を提示した以上の回数を実行する傾向にあります.
②積極情動焦点型
②の積極的情動焦点型は,物事を良い方向にとらえようとするタイプになります.「なんとかなる」と考え問題に対して楽観視する傾向にあります.そのため自主練習を提示した回数以下しか実行しないことが多くあります.
③消極回避型
③の消極回避型は,問題解決に消極的であり問題に対して何もしない傾向にあります.新しいことに対して否定的であり現状のままでいようとすることが多いです.セラピスト側が提示した自主練習は実行しないことが多く物事に対して悲観的になる傾向にあります.
この問題解決を図る際の傾向を「コーピング」と呼び,積極問題焦点型と積極的情動焦点型の優位の人のほうが問題解決を図りやすい傾向にあります.逆に消極回避型優位の人は問題解決に時間を要す可能性があります.
その人がどのタイプに属しているかを理解することで,それぞれの対応が変わります.
タイプ別問題解決方法
3つのタイプに応じて対応することで問題解決の近道となるだけでなく,リスク回避にも繋がります.
積極的問題焦点型の人は,問題を解決しようとするあまり頑張りすぎてしまう傾向にあり,自主練習を提示した内容以上のことを実施するあまり過負荷となり痛みを誘発するリスクが出てきます.そのため積極的問題焦点型の人に対しては,自主的な運動に際しては,上限を設け抑制を促す必要があります.
やればやるほど良いという暗示が生まれやすいため,回数以上を行おうという量を優先する傾向にあります.そのため質を疎かになり不適切な動作となり疼痛を惹起しやすくもあります.適切な運動強度の理由付けを説明するのに加えて適切な動きの反復させる質を意識させる必要があります.
積極情動焦点型の人は,問題に対して楽観的に捉える傾向があり,よくいえばプラス思考で物事を考えます.自主練習を提示しても回数も少なく実施する場合があり問題解決に時間を要すことがあります.そのため積極的問題焦点とは逆に最低限の回数を提示し課題遂行を促す必要があります.
問題解決に消極的な消極回避型は思慮深いともいえますが,問題解決を図りにくいことが多いです.自主練習を提示したとしても環境面や自己の調子など理由付けをして遂行しない場合があります.そのため消極的問題回避型は,実施可能な課題をクライアントと一緒に探し,課題遂行ができるとクライアント自身に宣言させることが大切となってきます.
セラピストの思い込みだけでこれなら大丈夫であるという押し付けは返ってやらなくなってしまうため避けなければなりません.提示しそれに対しクライアントの反応から,できうることを探す姿勢が重要となってきます.
まとめ
クライアントが頑張り屋なのか,楽天的なのか,消極的なのかを見極め,それに対してそれぞれの対応を取ることで問題解決が近づくのではないでしょうか.ただ,3タイプがそれぞれ混在している場合や時間帯や環境,その時の状態,状況に応じても変化しうるためその都度観察しながら見極める必要があると思います.参考にしてみてください.