「睡眠力」が免疫を高める!!

 人の人生の1/3は「睡眠」と言われています.その「睡眠」の質を上げることは日中の活動に良い影響を与えるだけでなく,自律神経や体内リズムを整え免疫力向上にも関わってきます.体内リズムと自律神経の関係性に関しては,「免疫力を上げるためにはサーカディアンリズムを知ろう!!」をご参照ください.今回は「睡眠力」について解説していきます.

 睡眠障害

 生理的な睡眠に何らかの障害が起きている場合を「睡眠障害」といいますが,睡眠障害にはいくつか分かれています.

 まず,布団に入ってもなかなか寝付けない「入眠障害」.寝つきはそれほど悪くないけど夜中に何度も起きてしまう「中途覚醒」.そしてお年寄りに多く朝早く起きてしまう「早朝覚醒」があります.

 睡眠障害は自律神経の乱れで生じるのですが,交感神経過緊張と副交感神経過緊張と現れる病態は変わってきます.

 交感神経過緊張で現れる睡眠障害としては「中途覚醒」,「早朝覚醒」です.睡眠は本来副交感神経が働くことで睡眠するのですが,交感神経過緊張の場合,深い睡眠に至らず些細なことで目が覚めてしまいます.

 交感神経過緊張の原因は,働きすぎや精神的ストレスなどが考えられ特に日本人は交感神経過緊張が多いと言われています.対処法としては,日中副交感神経を刺激して交感神経過緊張を抑制する必要があります.例えば昼寝(15分程度)や寝る前にストレッチやヨガ,呼吸法,白湯などは副交感神経を刺激するため効果的と考えます.

 副交感神経過緊張に現れる睡眠障害としては「入眠障害」です.これは大きく分けて2つあり,一つは運動不足,もう一つは昼寝のし過ぎです.

 入眠障害の改善は日中しっかりと体を動かして,昼寝(15分以上)をしないことです.また睡眠障害は自律神経の乱れで生じるため自律神経を整える必要があり,そのためには体温を高めることが大切です.詳しくはこちらをご参照ください.

 体温を高めるのは自律神経を整えるためだけではありません.眠りに入るとき人は体温が下がると言われています.そのため寝る前に白湯などで体温を高めておけば,経過とともに体温が徐々に下がるため眠りに入りやすくなります.昔はミルクなど温めて飲むと良いとされていましたが,寝る直前にカロリーのあるものは消化するのに消化器系に負担がかかかるので,負担のかからない白湯がおすすめです.

睡眠の質を高めるよう

 健康に寄与する睡眠時間は「最低7時間以上」といわれてます.人間の睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠が交互に繰り返されます.

 レム(REM)睡眠では、脳が活発に働いており、記憶の整理や定着が行われています。一方,ノンレム(non-REM)睡眠では、大脳は休息していると考えられ、脳や肉体の疲労回復のために重要だとされています。

ノンレム睡眠からレム睡眠に移行し再びノンレム睡眠になるまでの1サイクルに要する時間は約90分間です.自然な目覚めをこのサイクルで訪れるので,もっとも理想的なのは,睡眠時間7時間から8時間の間で自然に目覚めることです.

 しかし日々の生活で7時間から8時間確保が難しい人も多いと思います.そういう人は,この90分のサイクルに合わせることを考慮する必要があり,4時間半,6時間,7時間半に目覚ましをセットすると比較的スッキリと目覚めることができると思います.

また,起床時間ですが午前5時頃が副交感神経支配から交感神経支配に切り替わる時間帯になるのでその時間を理想とすると良いです.

 そのため,睡眠時間は7時間以上ということを決まれば,就寝時間は逆算すると10時となり,夜10時に寝て,朝5時に起きる生活が最適ということになります

 また昼夜逆転した生活を送っている人と日中きちんと仕事をして夜十分な睡眠を取っている人と比較すると,がんの発生率は,昼夜逆転した生活を送っているほうが30%も高いという疫学的データがあります.

 まとめ

 睡眠障害は自律神経の乱れが原因です.自律神経を整え,夜10時に寝て朝5時に起きる7~8時間睡眠することが睡眠の質を高めることができます.しかしその生活が難しい場合はノンレム睡眠からレム睡眠へ移行し再度ノンレム睡眠になるまでの90分サイクルに即した睡眠時間を心掛けると良いです.是非参考にしてみてください.

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